サッカー界において、スペインのリーガエスパニョーラにおける、レアル・マドリード対バルセロナの一戦といえば『クラシコ』として世界中のサッカーファンが注目するビッグカード。
タレント揃いの両クラブの戦いというだけでなく、スペイン国内における州の気質などの影響もあり、常にプライドを賭けた戦いになることでも知られています。
クラシコといえば、世界トップレベルの選手たちによるスーパープレイの共演を楽しむ反面、スペインに国籍をもつ選手は特に感情が表に出やすくなり時に試合が荒れるのもクラシコらしい一面かもしれません。
それらも含めて、他のカードにはない独特の緊張感が自然と出てくることも『クラシコ』が特別な存在とされる理由なのかも。
個人的にも、日本代表戦やW杯の決勝以上に注目しているクラシコが、スペインリーグにおいてはもしかしたら消滅するかもしれない状況に向かうことに不安を覚えずにはいられません。
それが、カタルーニャ州の独立問題です。
カタルーニャ州がスペインから独立したい理由とは?
カタルーニャ州の独立問題とは言いましたが、カタルーニャ州の人々にとっては問題でもなんでもなく、スペインからの独立は当然の主張であるのだと思います。
そもそも、カタルーニャ州はかつて独立国家であったこともあり、スペインの他の州と比べて自分たちの価値観やプライドを強く出している州と言えます。
日本人のような勤勉性も持ち合わせるカタルーニャ州の人々は、スペインの経済危機が叫ばれる中でも、自分たちの州は経済的に問題はないと自負しているそうです。
それもそのはずで、その経済力は同じ欧州の国、「デンマーク」と同等とも言われています。
にもかかわらず、スペインの1つの州であるということから、カタルーニャ州におけるインフラ整備も自由に行えない状況にあるため、生活における不便さの解消が思うように進まないというストレスもあるとされています。
当然のことながら、スペインから独立してカタルーニャ州が1つの国家となれば、インフラの整備のみならずその他のことについても他の州からの経済的な負担を自分たちが受けなくてもよくなるということ。
カタルーニャで暮らす人にとっては、独自の意思決定を行いたいという思い(願い)がかねてから強くあるのは事実です。
ちなみに、日本では「方言」というものが地域によってありますが、スペインにおいてもそれに近いというか、スペイン語である「カステジャーノ」に対して、カタルーニャ州では「カタラン」という独自の言語があります。
その「カタラン」をスペイン語の一部としてではなく独自の言語として位置付けたいとの思いも強いと言われているようです。
このようなことから、カタルーニャ州の人々にとっては、スペインという国の中で民主主義を否定されているかのような気持ちが強まり独立という選択へと向かっていったのかもしれません。
カタルーニャ州、独立の是非を問う「住民投票」で勝利宣言も混乱は続く
今回、カタルーニャ州では、独立の是非を問うための住民投票が実施されました。
されたといっても、一筋縄ではいきません。
憲法上、州の独立を認めていないスペインは、首相自らが今回の投票は正当性にかけるとし、中央政府もカタルーニャ州での住民投票を憲法違反とし、投票そのものを阻止するために警察官を投入するなどの行動にでました。
その結果、日本でも報道されているように、多くの住民が警察官との衝突で負傷する事態になっています。
それでも、カタルーニャ州では投票が実施され、州政府はカタルーニャが独立国家としての権利を手した」と勝利宣言を行いました。
ただ、スペインのラホイ首相は、憲法違反でありカタルーニャ州政府のパフォーマンスでしかないと苦言を艇しました。
今後、スペイン政府は早急にカタルーニャ州の独立への動きに対しての対応を協議するとされており、今後の行方が気になるというより、もはや心配でなりません。
レアル対バルサ、リーガ伝統の一戦クラシコは消えるのか?
もし、カタルーニャ州が独立国家となった場合、当たり前ですがスペインではなくなります。
そうなると問題なのは、カタルーニャ州に本拠地をおくクラブチームはどうなるのか?ということです。
カタルーニャ州にはバルセロナのほかに、ジローナとエスパニョールというクラブが存在します。
本当にスペインからカタルーニャが独立をした場合は、この3クラブはどこの国でプレーするのか?
そもそも、カタルーニャ州で新たなサッカーリーグ立ち上げるというのは、規模的にもレベル的にも困難な道であることは疑いようがありません。
そのため、スペイン以外の国、例えばフランスやイングランドといった他国への参加の道が考えられます。
スペインリーグにとどまるという選択もあると言えますが、気がかりなのは、リーガエスパニョーラの会長が、カタルーニャ州独立の場合、この3クラブについてはリーガに在籍させるわけにはいかない」とコメントしていることです。
ただ、そうは言っても、バルセロナの永遠のライバルであるレアル・マドリードとのクラシコは、リーガにおいて最高のカードです。
リーガというよりも世界的にみても最高のマッチメイクです。
さらに、リーガにおいてその収入源の多くは、この2つのクラブからもたらされていると言い切っても差し支えないです。苦笑
ジローナやエスパニョールには申し訳ないのですが、バルセロナがスペインから姿を消すといことは、リーガの運営においてとてつもなく大きな損失を生むことにつながります。
そのあたりを踏まえると、仮にカタルーニャ州が独立国家となったとしても、バルセロナを始め3クラブはスペインリーグにとどまると考えるが自然かと。
感情的なものや経済全体的なものは抜きにしても、そこは切ることができないと思われます。
バルセロナ的にも州の独立が本当に実現したとしても、リーガにとどまることがベストな選択だと考えているのではないでしょうか・・・。
気になるのは、カタルーニャ州での住民投票と重なることとなったリーガの一戦、バルセロナ対ラスパルマスの試合が、スペイン政府の対応にへの抗議の意味を込めて「無観客試合」に急遽クラブ側の判断で変更されたこと。
— FC Barcelona (@FCBarcelona) 2017年10月1日
このような両者のぶつかり合いが今後のスペインサッカー界においてどのような影響を与えるのか不安でなりません。
正直、スペイン国内におけるカタルーニャ州の状況や市民感情を思うと、独立については良いとも悪いとも言えませんが、レアル・マドリード対バルセロナという伝統一戦『クラシコ』が終わることのない方向に向かってほしいものです。
どちらもビッグクラブなだけに、欧州CLで実現する可能性はもちろんあるカードですが、リーガで行われるものと欧州全体という位置付けでみるものは、その空気が違うように思いますので、どうか最悪の事態は回避していほしいと願っております。