ここ最近、現実味を帯びてきたのかもしれないと思うのが、AI(人工知能)が世の中の様々な仕事へと導入されていくのではないかということです。
ちょっと前に、「映画『マイノリティリポート』が現実に?シカゴで犯罪予測システム導入による効果が凄い件」なんて記事も書いたりしましたが、企業におけるAIの活用が遠い未来ではなくすぐそこまで来ていると実感させられるニュースがありました。
メガバンク3行※が、約33,000人にも及ぶ行員の業務量を『AI』やロボット技術に移行することで、業務効率をアップさせる事を検討しているというものです。
※「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「みずほフィナンシャルグループ」「三井住友フィナンシャルグループ」
まだ10年から先だと思っていたことが、銀行で早くも実現する可能性が一気に高まっています。
これまで人に手によって行われていた業務がAIになれば、店舗の統廃合や無人店舗に置き換えられるケースもあり得ます。
それがそのまま希望退職を募り「リストラ」へと繋がることも考えられます。
先日、日経平均株価の終値が21,448円52銭となり、年初来高値を連日で更新し、30年近く前のバブル期以来の上昇と話題になりました。
しかし、それがそのまま日本国内の景気状況の好転や多くの国民の収入増として実感できるようなものではなく、銀行に限らず経営のスリム化が進む傾向なのが現実という印象です。
人の仕事がAIに取って代わられることが現実的になったことで、ふと思うのは『市役所』とかこそその対象なのかなという事です。
役所の仕事にAIで実現可能な事があるのは確か
昨年、2017年1月から「マイナンバー制度」がスタートしましたが、多くの方が押入れとかタンスの奥にマイナンバーを入れたままというのが実情ではないでしょうか。
マイナンバーカードの普及率も、制度そのものへの不満や手続きが面倒なこともあって、現時点で10%にも満たない惨状です・・・。
そのため政府が目論んでいた自治体などの公的機関での個人情報の連携についても、1月からの運用開始予定が11月まで延期されている状況です。
政府は声高らかにマイナンバー制度の安全性を掲げていますが、国民の多くは情報漏洩の不安を感じているのが実情。
ただ、業務効率という点でみれば役所関係での手続きなどについては、マイナンバーは別にしても効率よくやってほしいもの。
どうしても混み合うことや手間がかかるの事が多いのがお役所仕事の特徴でもあります。
そうなると、今後は『AI』の導入が何気に最も望まれる仕事が<役所関係>だと言えます。
ちなみに、役所ではありませんし日本の話ではありませんが、中国では『AI警察署』なるプランに着手することが発表されています。
中国国内大手のIT企業が手がける予定の『AI警察署』では、無人の署内で住民向けのサービスをAIにより自動化する計画だそうです。
警察署とはいえ、さすがに事件や事故をAI処理とはいかないようで、当面の計画としては、運転免許証の登録や更新、紛失物の届け出といったことになるようです。
そこには、「顔認証システム」が用いられ、顔を登録することで身分証明書が不要になるとのこと。
登録しておけば、窓口で顔認証することで各種手続きが行えるというものです。
『AI警察署』は無人のため、土日休むこともなく365日24時間いつでも利用できることになり、自分の都合のよい時間に出かけられ、待ち時間も大幅に削減できる見込みです。
まだ計画段階ですが、実現すれば日本にとっても参考になるのかもしれません。
「やたらと職員の数は多いのになぜこんなに待たせる?」
手続きの内容にもよりますが、このような経験を役所で頻繁にしている方にとっては、『AI市役所』や『AI役場』とかの登場はアリなのだと思います。
市役所のAI化、業務効率や税金の節約メリットあるけど実現困難な現実
市役所や町村役場といったところに『AI』が導入されて各種手続き業務の効率が上がれば、多くの国民の待ち時間といったストレスは解消されると思われます。
しかも、職員数の削減が実現できれば税金の節約や他の事業へ回すことにも可能です。(あくまで個人の意見です)
とはいえ、役所のAI化においては、実現困難な点もいくつかあるのも確かです。
今後普及が進むと思われる「顔認証システム」を利用するとなれば、当然ですがその精度が気になるところ。
例えば、先日発売されたばかりのAppleの『iPhone X』の顔認証システムにおいては、双子だと判別できないケースが多発したりしています。
双子に限らず、女性であればメイク後に顔を登録した場合、すっぴんとの違いが大きくなると認証ができない可能性も否定できません。(悪気はないです。あくまで例えです)
このあたりが、セキュリティ上のリスクや認証トラブルになってしまえば、業務効率どころではなくなる可能性があります。
こればかりは、顔認証システムの精度向上に期待するしかありません。
そしてもひとつ。
何気にこれが役所AI化の一番の問題で、政府にしても職員にしても「公務員」という立場であることです。
ただでさえ政府は公務員の給与アップを実現する法案「改正給与法」を昨年成立させています。
政府に言わせれば、国家公務員の給与を大手企業並みに引き上げる目的とのことですが、民間企業で働く国民からすれば、基準を大手企業にしていることはおかしな話となります。
それでなくても日本の公務員給与は先進国の中でもずば抜けて高額とされています。
この状況は、言ってみれば公務員の仲間意識の強さと、自分たちは選ばれし人で民間人との差別化的なことを推し進めるためのものかもしれません。
この流れが地方公務員へと進んでもおかしくないです・・・。
そうなると役所業務をAI化した場合に、人減らしの必要に迫られたら困るということになります。
そのようなことを避けたい公務員側(政府側)としては、AI化は避けたいと考えてもおかしくないかもしれません。
そもそも、総務省の考えとして「国家公務員」についてはAI化はあり得ないというスタンスのようですし・・・。
現在のマイナンバー制度だって、業務効率的な事以上に政府が国民を掌握したいがための制度です。
政府は2021年をめどにマイナンバーと銀行口座の紐付けを義務化する方針で、それまでは任意で紐付けが可能。
要は、役所仕事の業務効率の改善よりも国民のすべてを手中に収めてさらなる税収アップが政府にとっては重要であると考えるべきかと。
顔認証システムがどうとかAIがどうとかって問題ではなく、『AI市役所』などといったものは実現が困難というのが正直なところです。苦笑
『AI』に取って代わられる仕事が多くありそうな<お役所仕事>ですが、その可能性は日本の公務員制度など、官民の立ち位置の違いから見るとそう簡単ではないのだと思った次第です・・・。
やらざる得ない状況になっていく可能性も十分にあるかもしれませんが、こればかりは時の流れを見るしかないですね。
ということで、たまには真面目な話をしてみました。笑