スティーヴン・スピルバーグの名前が世に知られるきっかけとなった作品といえば、『激突!(邦題)』。
今回、本作のBlu-ray Disc版である、『激突! ユニバーサル思い出の復刻版』を購入しました。
この作品は1971年にテレビ映画として制作されたものですが、アメリカ以外の国では劇場用映画として公開されヒットしました。(日本では1973年公開)
ちなみにスピルバーグの映画作品としてのデビュー作とされているのは『続・激突!!カージャック(邦題)』ですが、実はこれ『激突!』の続編などでないことは知る人ぞ知る話。
『続・激突!!カージャック』は1974年の作品ですが、その前年に日本でヒットした『激突!』にあやかろうと、配給会社がシリーズ作品ではないにもかかわらず、続編と思わせるような邦題をつけてしまった酷い話です。苦笑
邦題って、なぜかセンスのないタイトルが多いですが、うそまでつくってさすがにダメですよね・・・。
『激突!』の原題は『Duel』ですが、意味としては「決闘」とか「1対1の戦い」というようなものになりますので、本作については違和感のない邦題にはなっています。
激突! ユニバーサル思い出の復刻版の特典について
邦題が酷いって話はさておき。苦笑
今回購入した、『激突! ユニバーサル思い出の復刻版』ですが、アウターケースは劇場公開当時のチラシが使用されています。
それもいいのですが、いっそのことチラシの復刻版を同梱してくれたらよかったのに。苦笑
その代わりってわけではないのでしょうけど、特典として「近代映画社」の雑誌「スクリーン」で掲載された『激突!』公開当時の記事をまとめたブックレットがついています。
こういう時代を感じさせてくれる特典はかなり好きです。笑
ただ、ケースを開くとディスク以外なにもないのはちょっと寂しい。
初回生産限定というのならば、もうちょっと特典がついててもよかったのではと思わずには入られません。
その他、映像特典としては、スピルバーグ監督による撮影秘話や制作の裏側の話や予告編などが収録されています。
そしてこういった昔の名作で用意される特典として「吹き替え」がありますが、『激突! ユニバーサル思い出の復刻版』には、日本語吹き替えとして、1975年に「日曜洋画劇場」で放送された昭和の名優、穂積隆信バージョンが収録されています。(その他、ソフト化用の声優さんバージョンも収録)
本作のファンの中には、徳光和夫バージョンを収録してほしかったという声もありますが、たしかに聴いてみたいかも。
いずれにしても今となっては貴重な吹き替え音声であることには変わりないようい思います。
『激突!』に関しては、DVD、Blu-rayともに「復刻版」と名がついているもの以外は、テレビ放送時の吹き替えは収録されていません。
穂積隆信バージョンで作品を楽しめるのは、『激突! ユニバーサル思い出の復刻版』のみとなっています。
50年近い時が経っても名作は名作のまま
久しぶりに『激突!」を観ましたが、1970年初頭の作品という時代の古さはあれど、作品としてはやはりよくできていると実感。
名作はどれだけ時が経とうとも名作のままですね。
話としては、主人公がノロノロ運転のラックを追い越したことからそのトレーラーの運転手に煽られるっていう、今や日本でも大問題となっている「煽り運転」が題材です。苦笑
今ならドライブレコーダーや携帯電話がありますが、アメリカの広大な土地で公衆電話くらいしかない状態で、トレーラーから追われる恐怖はかなりのもの。
とてもシンプルなストーリーで、もともとテレビ映画なため低予算ということを思えば、脚本とスピルバーグ監督の演出、カメラアングルなどの上手さが際立った作品と言えます。
そして何より、トレーラーの運転手の姿が最後まで確認できないことで、よりトレーラーそのものの怖さを魅せているところにスピルバーグの若かりし頃のセンスを感じるところです。
余談ですが、今回購入したBlu-ray版は画質が良くなったためか、主人公を襲うトレーラーの運転手の顔がちょっとだけ確認できたりします。
印象としては、決して変人などではなくどこにでもいるおじさんといった感じです。苦笑
といった感じで、『激突!』は今でも普通に楽しめる作品であり、これから先もスピルバーグの出世作として語り継がれていくのだと思います。
以上、『激突! ユニバーサル思い出の復刻版』のお話でした!